いやなおんな ブログ ヤマナの話。 忍者ブログ
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率直に言うと、わたしは昔彼女に惚れていた。
 妹さんとの区別が難しくなるのに意地張って折角分かった字面で呼ぼうとしていたときもあって、今はヤマナと呼ぼうか山名と呼ぼうか、よく迷う。

 そして、最近ふと何かで読み返して、彼女について誤解していたことに気づいた。
 いやはは、わたしね、昔書いたSSとかにも反映されているんだけど、彼女は声もだめなんだと思ってたの。

 何のきっかけだか忘れたけど該当部分を読み返したら『テレビの音や肉声は平気だけど』だから……いや、やっぱり微妙なラインか。でも初登場短編の感じからすると声は平気そうだったんだよね。だめだったものの例は『足音』『筋肉の音』『息の音』だったしね。
 8巻に出てきた彼女の妹は『娘さんの方のトライアングルみたいな声を生前の姉さんが高音質で耳にしたら、十秒で発狂するだろう。いや死後でも(後略)』って言っていたので、いくつか可能性はあるんだけども……。
 ということで並べてみましたー。

1.美里(妹さん)が姉の障害を微妙に誤解していた。
2.いとくん(作者)がヤマナの設定を微妙に忘れていた。
3.いとくん(作者)、あるいは作家サイドが周囲や読者の反応から『声もだめ』という認知の方が多いと感じ、そちらに迎合した。
4.ヤマナの説明力が若干残念だった。
5.ヤマナが、会話までやめられたくなくて少しの嘘をついていた。

 こんな可能性がある。
 あと、美里が彼女のことを回想して葬式で弟が言っていたことがどうこうってページが今見つからなくて小一時間焦ってる。(どうでもいい)

 閑話休題。色々可能性みたいなものはあるけど、それにつけてもちょっとせつないものがある。好きだったひとを完全に『だった』にしてから、そんなこと(まちがっていた、にしろ、まちがっていた可能性、にしろ)に気がつくだなんて。

 恋日の回想でもって改めて失ったことに気づいてやっと好きになった恋だったけど、それ以前の部分からわたしは、彼女を好ましく思っていたから、余計(以前の部分からの好ましさは今も残ってるよ)。

 わたし、えと、ブログやついったいちいち読む人からすると聞き飽きてるだろうけど、一時期精神病棟に検査入院みたいな形で入ったことあるの。
 そんなに病状がひどい人はいない、思春期病棟と呼ばれる子供向けのところ。中庭とナースセンター挟んで向こうに男子の部屋があって、人数の関係で年上のおねーさんや話したことないけどおじーさんとか居た(おじーさんのげりぴーが廊下にあったときはにわかに焦った)。
 部屋に居るとき歌いすぎて母親に迷惑がかかっていたっていうのもあったくらいだから歌えないのがつらくて、そう訴えて中庭で歌っていた覚えがある。でも中庭で歌うのってあんまり自由じゃなかったんだよねー。一人で居るつもりで歌っていたのと全然違ったもの。届けたい対象以外の耳が沢山ある中歌うのは、好きじゃなかった。

 そんでね、病棟に入ったとき、病棟で過ごすとき、そしてCDに合わせてお歌を歌うためにラジカセを借りに行くとき、どうしても意識せざるをえなかったことがあるのよ。

 それが、山名が、彼女が言っていた閉塞感。死ねないように厳重にされていることの、閉塞感。

 刃物厳禁。はちょっとしか開かない。食事のときの食器も確か、管理体制が整っていたかも。首が吊れそうなものは全部厳禁、だから、音楽バカのわたしがラジカセを借りていていい時間は限られていた。コードがあれば首が吊れるから

 ラジカセを借りて返す度に、他に必要とする人が居ないこのラジカセをこんな風にやりとりするのはわたしから自殺の可能性を奪うためだと意識して、息が詰まって、結局歌っていても何も変わらなかった。

 自殺も自傷も全部禁止。わたしの要矯正の癖(へき)にパソコン依存もあったから、パソコンも持ち込みがだめだった。ひたすら、あんまりおもしろくねーなーって思いながらハルヒ読んでた覚えがある。
 あとはおねーさんが好きなアニメのドラマCDに新居昭乃の曲が入っててきゃーきょーしてたような、小さい女の子も居たようなって。

 だから、フェンスを破って、ひ弱な指でちょっとずつ破っていた彼女が語った言葉が好きだった。
 そんな気持ちなんでわかっちゃうかなぁ、ちょっと想像すればわかることなのかもしれないけどさぁ、って、入間人間に惚れ直してた。

 この頃には彼(作者のことな)にはべたぼれでしたね。懐かしくも恥ずかしい想い出(現在形)。

 母親もその後精神病棟に入院させられたことがあったんだけど、わたしの病棟よりキツかったみたいだし、何より入れられた部屋からの出入りに制限があったり格子が露骨だったり監視カメラが付いていたりして余計憔悴して帰ってきた。

 わたしの病棟に彼女が居て、その破壊を、理由を知ることがあったなら、どれだけの気持ちになったんだろうって、ふと考えたりする。
 笑顔は見たことがなかったけど、彼女が遺したものはわたしにも、あって、

 ……現在進行形で恋心は抱いてないけど、やっぱりとても好きなのだと、そう思った。
 自分のついでとはいえ、死ぬことをゆるした山名が好きだった。

 勇気さえあれば飛び降りることができるベランダに何度足を掛けてもだめだったけれど、今はペティナイフを寝室に持ち込んでじゃれてみても細かい傷一つすらつけていないけれど。

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くりえいたーさんや実在しない人に、『自分だけしっくり来ればいい』精神であだ名をつけることが多い。直接関わらないと逆に気安い呼び方の方が距離が遠く感じるような、作品越しとかだと近しく感じるような、そんな感じ。
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